補足:#1
不動産業者様を通して賃貸業を始スタートします。その時、「源泉徴収」という大事な手続きが発生します。
例えば、月1000ドルで誰かにお部屋を貸したとします。そうしますと、1000ドルの30%、つまり300ドルを税金として米国連邦当局に納めなければなりません。そして、残った700ドルから不動産業者様の管理費やGETなど諸々の費用が差し引かれ、その残額が口座に振り込まれる、または不動産業者様が預かることになります。
この30%(この例の場合は300ドル)を家賃収入から引いて米国連邦当局に税金を納める行為を「源泉徴収」と言います。
ここで2つの疑問がわいてきます。
1.誰がその手続き(源泉徴収)を行うのですか?
2.1000ドルの収入に対して300ドルも税金をとられてしまうのですか?
先ず1つ目の疑問ですが、これは通常、物件管理を行なっている不動産業者様が行います。つまり、1000ドルの家賃収入から300ドルを徴収して、投資家の皆さんの代わりに不動産業者様が米国連邦当局に税金を納めます。そして、1000ドルから300ドルを引いた残りの700ドルから諸費用を引いた残りを投資家の皆様の銀行口座に振り込みます(または不動産業者様が預かります)。
2つ目の疑問ですが、たしかに家賃収入の30%はとられすぎです。米国連邦当局もそれはわかっています。では、なぜそんなに多くの税金を徴収するのかということですが、それは、投資家の皆様が米国非居住者であるため、つまり、米国国外に住んでいるため、米国国内で稼ぐだけ稼いで(賃貸収入を得て)、そのまま米国に税金を払わずに逃げてしまうのではないかということを警戒しているためです。
米国国内で稼いだ分は米国で税金を払うという原則がありますが、それをせずに、そのままお金だけもって逃げてしまうことを恐れているのです。その対策として「それなら投資家にお金が渡る前に税金をとってしまおう」という考えなのです。しかも「多目にとってしまおう」ということです。こうすることで米国連邦当局としては「とるものはとったし、しかも多目にとったので、逃げても隠れても構わないですよ」という強気の姿勢になるわけです。そうなると、今度は投資家の皆様が弱い立場になります。つまり「とりすぎた税金を返してください!」と申し立てる立場になるわけです。
その「とりすぎた税金を返してください!」という声を正式な手続きとして伝えることを確定申告(タックスリターン)といいます。これをしない限り、とられすぎた税金は二度と返ってきません(確定申告をし再計算をすれば然るべき額が戻ってきます)。
では「最初から30%の税金をとられないで済む方法はないのですか?」ということなのですが、実はあります。たしかに、確定申告(タックスリターン)をすれば然るべき額が返ってくるわけですが、それまで、ずっと米国連邦当局にお金を預けておかなければなりません。つまり、一時的に手元のお金がなくなってしまうわけですからいい状態とは言えません。ではどうすればいいかと言いますと、具体的にはForm W-8ECIという資料に必要事項を記入して、不動産業者様に提出します。「私は逃げも隠れもしません。ちゃんと賃貸収入にたいして確定申告(タックスリターン)をします。そして、税金を払う必要があればちゃんと払います」ということを約束する資料だと考えていただければ結構です(正式には、米国に関連する所得で・・・という概念が存在します)。
上述の通り米国連邦当局としては、賃貸収入があるにも関わらず税金を払わないで逃げられてしまう可能性があるから源泉徴収という手続きを強制するだけであって、ちゃんと税金を払ってくれることを約束するのであれば、それは必要ないのです。
ここで1つ気をつけなければいけないことは、源泉徴収によって税金を予め納めておけば、返ってくることはあっても、それ以上払う心配はありません。しかし、Form W8ECIを提出して源泉徴収を回避すると、つまり、税金を一切払わないことになりますので、例えば賃貸業の収支がプラスになった時には確定申告時(タックスリターン)に税金を納めなければなりません。
それが何か問題ですか?ということですが、確定申告時(タックスリターン)にはじめて納税をするのでは遅い場合があります。最終的に納税するのはいいけれど、もっと早くしなさいということです。この「もっと早くする」行為を予定納税といい、予定納税が少なすぎると、後できちんと払ったとしても納税が遅れたとしてペナルティーが課されることになります。
このため、源泉徴収を回避する場合は、ある程度の賃貸業の収支を見積もって、プラスになりそうであれば予定納税を行っておく必要があります。